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ノイタミナオンデマンドCREATORS INTERVIEW

『ノイタミナ』に携わるクリエイター達にスポットを当てたインタビュー記事を公開

Special Interview

塩谷直義NAOYOSHI SHIOTANI

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PROFILE
『PSYCHO-PASS サイコパス』シリーズ監督、同作では、自ら絵コンテや原画なども担当している。
ノイタミナにはTV番組の壁をやぶってほしい

お客さんの愛に支えられ

最終話にたどり着けた

ノイタミナ10年目ということで、人気ランキングを集計したのですが『PSYCHO-PASS サイコパス』はたくさんノミネートしました。ミスターノイタミナ部門は狡噛慎也が1位、ミスノイタミナ部門は常守朱が1位。

塩谷え、そうなんですか(笑)。へえー。そうだったんですか。

好きな名台詞部門では「紙の本を買いなよ」という槙島聖護のセリフがランクインしているという。

塩谷なるほど(笑)。そういうことですか!

『PSYCHO-PASS サイコパス』をおつくりになって、ノイタミナの良いところや悪いところをどのように感じていましたか?

塩谷そうですねえ……(笑)。ノイタミナは、まあ正直……要求が高いですよね。具体的に「こうしてください」とオーダーがあるわけじゃなく、何かしら見えないプレッシャーで自然とクオリティの高いものをつくらないといけないイメージがありましたね。なんだろう、それって。おそらく『PSYCHO-PASS サイコパス』のときに、毎週ノイタミナショップ&カフェシアターで先行試写会を開催してくださったからだと思うんです。ノイタミナ作品ってお客さんとの距離がすごく近くて。先行試写会に行くと、直にお客さんの声が聴けるし、反応が感じられるんです。昨今はtwitterやブログでお客さんの顔や声が見やすくなっているんですけど、作品を観ている人たちの素の表情って、まだまだ見る機会が少ないんですよ。それこそ劇場版だったら、映画館で見ることができるのかもしれないんですけど。そのリアルな反応を感じつつ、作品をつくっていくことができるのはノイタミナならではだと思います。お客さんの期待値が上がっていくこともわかるし、立ち見で並んで先行試写会を待っているお客さんがいると思うと、僕らのモチベーションもあがるんですよ。正直『PSYCHO-PASS サイコパス』の制作現場はとても大変で、正直きつかったんですけど、みなさんの声が支えてくれたから、無事に最終話まで完成できたんだと思っています。

塩谷監督もノイタミナショップ&カフェシアターに足を運んだそうですね。

塩谷いや、びっくりしましたね。試写会が盛り上がっているというのは、嘘だと思ってたんで(笑)。

『PSYCHO-PASS サイコパス』という

作品に込められた「硬さ」

いま塩谷監督は『PSYCHO-PASS サイコパス2』と『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス』に関わっているのだと思いますが、第2期と劇場版を制作することが決まったときは、どんな感想をおもちでしたか?

塩谷劇場版に関しては、第1期の段階から、できたらいいなと思っていたんです。でも、実際こうやって制作がはじまると……これは『PSYCHO-PASS サイコパス』という作品がもっている宿命なのかもしれませんが……ぶっちゃけ第1期のときよりも大変です。

大変なのは第2期と劇場版を同時進行でつくっているから、ということですか?

塩谷いえ、違うんです。作品のもっている「硬さ」が独特なんですよ。『PSYCHO-PASS サイコパス』という作品は、ひとつひとつコツコツと矛盾を消しながら、積み上げていく作品なんです。勢いだけではつくれない。未来の社会体制やそこから起きる事件や人間模様を考えながら、ひとつひとつ未来の歴史をつくっていくような感覚ですね。考証的な整合性やSF的なバランスを取ることが必要で、気をつかう作業が多いんです。

かなりの慎重さが求められる作品なんですね。

塩谷オリジナルの作品って、第二期こそが一番気をつけなくちゃいけないんだと思うんです。第二期をつくらせていただけることはありがたいことなんですが、スタート地点は第一期と違って、ゼロからじゃないんですよね。第一期でつくりあげてきたものが、マイナスに働くこともある。第一期では後先を考えず、がむしゃらに全力投球でつくることができたんですが、第二期では第一期を踏まえた物語にしないといけない。そういう縛りがあるうえで、新しい物語を創作することって、すごく難しいと感じています。

ノイタミナで極端な

作品に挑戦したい

さて、まだ先は長いかと思いますが、『PSYCHO-PASS サイコパス』のプロジェクトが落ち着いたあと、塩谷監督がノイタミナでやってみたいことはありますか?

塩谷ふふっ(笑)。いま『PSYCHO-PASS サイコパス』もハードですし、自分の前作『劇場版 BLOOD-C The Last Dark』もかなり激しい内容だったので、もうちょっと違うジャンルをやってみたいなと思います。もしくは、もっとハードな作品。そのどっちか、極論を突き詰めた作品をやってみたいです。

違うジャンル……というのは、どんな作品ですか?

塩谷たとえば、子ども向けの作品ですね。『電脳コイル』とか、ああいう10代前半の子が主人公みたいなニュアンスの作品ですね。『PSYCHO-PASS サイコパス』って登場人物の平均年齢が高いので(笑)。だからこそ、ハードなエピソードがつくれるという良さもあるんですけど。

楽しみにしています! では、ノイタミナ10年目に、塩谷監督からメッセージがあれば。

塩谷10年目ということは、次に15年目、20年目、30年目があるってことですよね(笑)。ずっと続いていくことを祈っています。ノイタミナのスタッフの方々は、中途半端のままやめる人たちではないと信じているので、どんどん突き進んで、TV番組の限界を突破してほしいですね。アニメだからできる、TV番組の可能性を追求してもらえると、いちファンとしてうれしいです。

劇場版も楽しみにしてます。

塩谷『劇場版PSYCHO-PASS サイコパス』はノイタミナムービーというシリーズの第一弾作品なんですよね。ノイタミナムービーというレーベルが1作だけで終わってしまわないように。劇場版という、新しい色の『PSYCHO-PASS サイコパス』を楽しみにしてもらえるとうれしいです。

(終わり)

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